第一回 大平 貴之 氏
理科少年が作った世界一
第二回 田代 真人 氏
デジタルが改めて雑誌を創る
第三回 野中 耕 氏 小宮 信彦氏
六本木ヒルズのユビキタス
第四回 山岸広太郎 氏
日本株式会社社内報的サイト
第五回 松尾幸恵 氏
こだわりインタラクション
第六回 江村知夫 氏
伝統を守ること。
第七回 平野大輔 氏
ユニバーサルサービスのつくりかた
第八回 杉山知之 氏
デジタルの裾野を広げる
第九回 水野敬也 氏
リアルの法則を作る
第十回 住友淑恵 氏
セルフプロデュース・セレブ

第十回
住友 淑恵 氏
(セレブスタイル 主宰)


セルフプロデュースとしてのセレブ

 セレブと言う言葉が日本でブームになり、以前注目の対象とされている。とにかく輝かしく華やかなセレブ達と、それに憧れる我々。テレビの画面の中のセレブ達と、それをテレビを通じて眺める我々。セレブという言葉は我々にとってはそんな関係以上のものではなかった。しかしそんなセレブに着目し、セレブのスタイルを我々の生活にも取り入れていこうとしているのが住友淑恵氏。そんな取り組みと思いを伺った。

セレブはなぜ輝いているか?

 セレブという言葉は、一般的にはムービースターや有名人を指していて、ものすごく光っていて憧れてしまうような人たち。ロイヤリティやセレブと呼ばれる人たちがなぜ輝いているのか考えてみると、それは社交の場が多かったからではないかと気付いた。社交の場では多くの人を見て、また多くの人に見られるという、ある種の緊張の場。自分をどう見せるか、どうアピールできるかと言う事をとことん考える必要がある場である。そんな社交場に出る機会が多いセレブたちだからこその輝きであり、私たちも社交の場を経験することで自分を磨いていく事ができると考えた。

環境は面白い

 その気付きは女子大生時代に自分自身で経験していたものと同じだと思った。女子大の友達と共学の大学の友達とでは、女子大の友達の方が女性らしい人が多いように思われる。それはやはり環境による影響が大きいのではないか。女性は女性で磨かれるし、男子校に男らしい人が多いのも同じこと。友達がオシャレをしていると、興味を持っていなくてもちょっとやってみる。すると自分が好きか嫌いか、自分に合うか合わないかが分かってくる。そこから自分の好みが知り始める。しかし回りの人がオシャレに興味がない場合、いくら自分がオシャレをしようとしても、回りから刺激を受けた時のように磨かれる事は難しい。一緒にいる人や環境から刺激を受けて、良いものは吸収したりする。自分の感性を見つめて信じることができるようなるには、経験や人との出会いがあるような環境に身を置くことだ。

フィニッシング

 ヨーロッパには様々なブランドが根付いているが、これは文化を大切にしているからだと思う。そういう文化を大切にしている中で、フィニッシング、つまり女性の仕上げを行うための場がある。例えばお花をやるとしたら、お花をたしなんでいるからこそ醸し出す雰囲気というものを身につけるようになる。それは魅力的な女性としての“こだわり”を持つにつれて身に付いていくものであって、自分知る事からこだわりをどのように持つか、という事に気付いていく過程でもあると思う。環境に身を置いた上で自分についてより知っていく、こだわりを持って行くことで、女性は素敵になっていくのではないか。日本にはそういうフィニッシングの場がないのではないか。これが問題意識になった。

セレブスタイル

 そこでフィニッシングの場を作ろうと思った。経験や人との出会いの中で自分を見つめて磨いていく、そんな場を提供しようと思いスタートしたのがセレブスタイルだ。普段はお茶やお花、マナーから経済学まで8講座があるが、これは知識やスキルを身につけるのが目的のカルチャースクールではない。自分を磨くための素材・材料として経験し、好き嫌いを知ってもらう事からスタートしている。もちろん上辺だけの経験ではなく、それぞれの歴史や背景などを知る事から、その筋の専門の先生を招いて、本物に触れながら学んでいく。これだけでは発展していかないため、日頃のレッスンのお披露目をする場、つまり社交の場として、女性だけのパーティーやイベントを行う。キレイにしていくと気持ちも違うし、女性同士がお互いに刺激をし合い、「素敵」と言われる経験をする。そしてまた日頃のレッスンに戻ってブラッシュアップしてこうというコンセプトになっている。

男性向けがない理由

 男性向けのフィニッシングの場がなぜないのか。それは男性が生活していく中で哲学、こだわりを持つようになるからじゃないかと思う。例えばブランドが好きになるとき、男性は一つのブランドが好きになったらそれを追いかけるようになる。あるいは色。自分の好きな色、似合う色を見つけている。そして自分の好きなものや色に囲まれるように生活している。女性はいろいろなブランドをちょっとずつ買ったりしているように、いろいろなものに興味がある。情報へのアンテナという意味ではそれも良いが、女性も内面で自分のこだわりや哲学のようなものを作り上げるべきではないか、と思っている。

目的か手段か

 就職活動やフライトアテンダントの講座をやった事があった。就職活動が成功する、フライトアテンダントになる、ということで多くの就活生が集まって話を聞いていく。女性が人生を考える一つのきっかけ、タイミングが就職と結婚だと思っているが、どうしても就職する事、結婚する事が目的になってしまっているように映ってしまう。本当にそうなのだろうか。

 人生は1本の木。人生が大きな1本の木だとするとそのてっぺんが自分の夢。夢はなかなかかなわない。その夢にむかってたくさんの経験を積んだりそこから考えをふかめたり、それは木の枝だと思う。その枝が手段や目的。枝の少ない木より、たくさん枝のついた倒れることない大きな木にした方が夢も叶いやすい。

 大企業に入る事を夢にしている人にはその先の未来まで伝わって来ない。講座ではそういう事を伝えてきた。セレブスタイルの講座やパーティー正に手段であって、自分の夢を実現する人、「セルフセレブ」になるために存在している。

セルフプロデュースとして

 これからは「個の時代」であると叫ばれている。その個の時代を生きていくことになる若者は、やりたい事がはっきりしていない、こだわりがないからこそマスコミが創り出すブームに乗っていく。そしていざ進学や就職などの人生の選択の時に道を定められなくなっている。しかしこれは日々のちょっとした感情の動きに気付いてそれを大切に蓄積していく事によって、発見していく事ができる。それがセルフプロデュースの第一歩だと思っている。

 セレブスタイルではいかにみんなにこだわりを持たせるかがテーマになっている。これは自分が先生で教えるという事ではなく、一緒に考えていく中で自らが気付いていく事だと思う。日常の中での気付きを増やして自分を見つけていくお手伝いをしていく場だと考えているし、日常の中で自分を見つける、というスタイルを作っていきたいと思っている。しかしこれは女性の生活の中で飲食やショッピングやデートとも競合してしまうし、現代の様々なプロモーションは生活時間の中に入り込む程上手い。セレブスタイルのコンセプトを女性の中の衣食住に浸透させていけるかが課題。「セルフセレブ」による社会貢献をしていきたいと思う。


セレブスタイル
http://cstyle.jp/

 

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